きりたんぽに想いを馳せて

 初冬のこの時期避けて通れない料理がある。秋田の代表的な庶民的郷土料理きりたんぽ鍋だ。とはいえ私が本物に出会ったのは20年ほど前のこと。秋田市で開催された森林交付税創設をめぐる首長の全国集会に招かれたときのことで、日程終了後の懇親会の料理がきりたんぽ鍋だった。だが正直いってあまり期待しなかった。というのは学生時代に一度だけ経験したきりたんぽ鍋のイメージを引きずっていたからだ。秋田出身の先輩が母親手製のきりたんぽを馳走してくれたのだが、具の入らない味噌汁仕立てのきりたんぽ鍋だったからさして美味しいとは思わなかった。貧しい学生の下宿生活のことで無理もないが、これが私のきりたんぽイメージになっていた。だがこの懇親会で従来の認識は一変した。料亭の女将が目の前で、きりたんぽ鍋の由来を話しながら、比内地鶏、マイタケ、さきがき牛蒡、ネギ、セリ、春雨、特性だし汁と手際よく煮込む。そしてできあがった鍋のまろやかな味と舌触りに驚嘆させられた。その場でレシピをメモし、翌年からわが家の料理メニューに加えた。クマ被害の減少と先輩の健勝を祈りつつ、今年もきりたんぽ鍋に想いを馳せている。

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