森とウバユリと境界紛争と

   昨日は防風林のことを書いたが、この西側に約6haの通称「拓北の森」がひろがっている。何十年も前に原野商法で切り売りされた農地。市街化調整区域だから開発を免れ、そこに風や小鳥が運んだ木々の種が芽を吹き大きな森に成長した。借景ではあるが、私たちには風雪を和らげ心をなごませてくれる宝の森だ。移り住んだころ、森の南側にウバユリの小さな群落を見つけて感動した。ウバユリが故郷の村の歴史に関係があることを知っていたからだ。明治32年、浦臼村が月形村から分村。村の境界はトレプタウシュナイ川とされていた。だが樺戸山系から石狩川にそそぐ川は境界付近に複数ある。どれが境界の川かわからない。大正になり入植者が増えると境界紛争に発展。アイヌ語でトレプタは「ウバユリ」、ウシュは「多い」、ナイは「川」を意味する。すなわち境界はウバユリが繁る川ということで、両村の役場の吏員と住民は総出でウバユリの川探し。幸い川が特定できて一件落着。私はこの川から200m離れた浦臼側の番外地(入植者に払い下げた樺戸監獄用地)で生まれた。子どものころトレプタ川は粗末な竹竿でもよく釣れた。ウバユリはいま拓北の森全体にひろがり、庭にもどんどん越境してくる。一度は球根を食してみたいと思いつつまだ果せていない。

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