動物たちの残りをいただく  

   畑はまだ50㎝の残雪。2,3日前の午前中、土に活けておいたダイコンを掘り出した。ところがなんと、半分はネズミが食べていた。みずみずしさは保たれていたので、残りのきれいなところを持ち帰って10キロほど麹漬けにできた。麹漬けをはじめて数年、少しずつ腕があがっていまは美味しくできる。それにしても「ネズミめ!」と心がいきり立ったが、とっさに猪風来さんの格言?が頭をよぎった。彼は野焼きで縄文土器を再現する陶芸家。石狩の黄金山の麓で3反歩ほど畑を借りて自給自足していた。私たちは何度も遊びにうかがった。うっそうとした森に囲まれているから、畑はキツネ、タヌキ、シカ、ネズミたちの格好の餌場になる。でも猪風来さんは沈着冷静、泰然自若。さすが縄文の陶芸家だ。曰く「先住者の彼らが先に食し、その食べ残しを私たちがいただくと思えばいい。彼らは決して食べつくさない」。自然観というか達観というか、心の沈め方に感服した。あれから私は「食害」という言葉をあまり使わなくなったが、昨日の心は少し穏やかならず。まだまだ猪風来さんの域にはほど遠い。午後、思い出しては苦笑しきり。猪風来さんはその後故郷の広島県に帰ったと聞く。

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