1年を13か月で暮らす方法
チェコの作家、カレル・チャペルは『園芸家12か月』という小さな本を100年以上前に書いた。絶妙のユーモアに彩られた愉快な本。北海道の3月中旬。陽光が和らぎ、ネコヤナギが春を告げると、残雪の下から土の鼓動が聞こえてくる。この時期、今年の庭の構想で頭がいっぱいになる(畑の構想も)。だが本格的な春の訪れはもう少し先だ。いつも想う。雪国では1年が12か月は少なすぎる。なんとかして13か月に増やせないものか。それには早く雪を溶かすにかぎる。なんと偉大な発見をしたものかと、せっせと雪をわり、融雪用にためておいたコーヒーの出しがらを丹念にまく。かくして春はわが家の庭に3週間早くやってくる。待ち構えていたスノーボールやフクジュソウがまず歓喜の声をあげる。園芸熱は、正常な判断力をもつ常識人を、急に極端な偏執狂患者に変える、とチャペルは笑う。自分には気づかない諸行の滑稽さをよく写し出してくれる愉快な本だ。これまで庭好きの友人たちにも一読をすすめてきた。辺りはまだ一面の雪景色だが、暖気が続いて昨日は庭の一角に土が顔を出した。
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