福島町の「議会だより」に学ぶ ( B町議会における講演会から)
福島町の「議会だより」に学ぶ
先ごろ道内のB町議会から依頼があって議会のあり方について講演しました。そのなかでどうすればよい議会広報(議会だより)がつくれるかという話もするよう頼まれましたので、私は現在はたくさんの議会だよりを読んでいるわけではないのですが、これまで各地の議会とのお付き合いを通して抱いている議会だよりのイメージをもとに話しました。
それで、最初に「一見は百聞に如かず。とにかくこれをみてほしい」と、持参した1年分の「福島町議会だより」の内容を詳しく紹介しました。議員のみなさんは本当に驚いたようです。その真剣なまなざしを見て私はこれで今日の講演の目的は半ば達したとすっかり安堵し、以後は議会だよりの見方・考え方として私見を4点、一般論として話しました。
1点目。議会だよりは議会の活動状況を住民に知らせるものですから、議会がよい活動をしていなければよい議会だよりはできません。読みやすく親しみのもてる編集技術も大切ですが、それも内容あっての話です。私の話を聴いてB町議会議員が驚いたのは、議会だよりの外見的な体裁ではなく、載っている議会の活動の内容なの多彩さなのです。当然のことですが、「よい議会活動なくしてよい議会だよりなし」-この当たり前の認識をまず共有してもらいました。
福島町議会だよりには、他の議会の議会だよりと同じように、議員の一般質問や文書質問と答弁の内容、議決事件の一覧と各議員の賛否の状況、予算・決算の論点と審議内容、各議員の会議等への出席状況、議会費の使途や議員報酬の状況、自治体視察の報告などももちろん丁寧に掲載しています。これらは議会として住民に対して行なうべき最低限の報告といってよいでしょう。けれどもB町議会議員の関心は別のところにあったようです。
ではそれはどんなことかといえば、例えば、2つの常任委員会における議員間討議の活発さです。委員の議論をまとめて年に30項目もの多数の委員会としての政策提言を行なっています。また、議会基本条例の全条項について実施状況を毎年点検し改善する、総合計画の事業内容を変更するたびに審議・議決する、一般質問に対する長の答弁内容を追跡する、全議員が毎年の活動目標を細かく公約し前年度の自己評価と一緒に公表する。他に高校生と議会の対話、議員のなり手不足問題についての住民への呼びかけなどもあります。
2点目。議員と議会のあり方をふくめて、町政の課題や話題がたくさん見つかるような、いわば住民参加に役立つ議会だよりであってほしい。広報と公聴を一体のものとして考える。このことはかつて福島町議会から教わりました。議会が住民と地域別に懇談会を行なうとき、議会だよりを持参してほしいと住民にお願いしているというのです。このような話は他ではあまり聞きません。住民が議会だよりを読めば話題を引き出せる、役に立つ政策情報源になっている。だからこそ議会は持参をお願いすることができるのでしょう。
3点目。将来、議会史を編纂するとき、過去の議会だよりを集めれば9割がたデータがそろうような内容の編集をめざしてほしい。各地の議会史を執筆した経験を持つ友人から聞いた話ですが、大事な問題が記録として残されていない。それで新聞記事をはじめ議会の外にある議会関係の資料の蒐集に大変苦労したということです。つまり議会は住民に情報公開するかたちできちんと自らの活動を記録化していないということです。
歴史だからよいこと悪いこと、いろいろなことが起こりますが、議会だよりは議会に不祥事が起きても取り上げない、大事な問題でも顛末をはっきり記録しない、とくに会派(福島町議会にはない)の活動や会派間の協議などになるとほとんど記録がない、などと嘆いていました。福島町の場合は、毎年度の議会活動をまとめた詳細な「議会白書」も作成しているので、議会だよりと白書の2つをあわせれば、大方のデータはそろいます。議会史の編纂はまだ先の話であっても、今日明日の議会だよりを編集する際の大事な心構えの問題です。
4点目。外の目の大切さです。上述のように福島町議会には、町外の人間からみれば、他の議会には見られない素晴らしいものがたくさんあります。けれども住民の目には特別なことではなく、わが議会の日常の風景です。そのような状態で放っておくのはもったいない。そこで外の目を活用すれば、わが町の議会を見つめ直し、あるいは他の議会と比較したよさを再発見するかもしれません。近年増えてきた町外の議会サポーターに依頼するのもよいでしょう。
福島町議会が町外の私に議会だよりの貴重な1ページを割いてくれているのもそうした思いからだと理解しています。私は福島町議会の議会基本条例諮問会議の顧問をさせていただいていますが、その仕事で一番大事なことは、議会だよりをしっかり読むことです。年4回、約30頁の面白くてためになる議会だよりが届くのをいつも心待ちにしています。
今後もこれを手本にして、議会と広報のあるべき姿を考え続けたいと思っています。
*本稿は、福島町議会のみなさんへのお礼を兼ねたレポートです。
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