M・ウェーバーからの宿題
新年を迎えたが、高齢ゆえに予期せぬ問題の発生は想定しつつも、今年もまた去年と変わらぬ生活をくり返すだろう。むかし高校生のとき三越百貨店の正面にあった富貴堂という書店で世界史の先生に偶然出会って、先生が買ったばかりのM・ウェーバーの『職業としての学問』を貸してくれて読んだことがある。難しくて深くは読みとれなかったが、衝撃を受けた個所があった。古代の農夫は人生に飽いて死んでいくが近代の知識人は厭うて死ぬことはあっても、飽いて死ぬことはない、という記述である。一人の人間の生涯を通して新しいことは起こらない変化の乏しい古代、年寄りは全部やりつくして、最後はそのくり返しに飽きて死んでいく。けれども変化の激しい時代に生きる近代以降の知識人はそうはいかないという指摘である。では普通の人間であっても知識人たる現代の人間はいかに生きるべきか。そのことを強烈に問いかけたメッセージだった。年末の書斎の掃除で書架の奥にあったこの本に偶然再会して、人生がもうすぐ終わるいまになっても宿題が少しも解けていない自分を痛感して新年を迎えた。多分答えは「終わりなき戦いを続けよ」ということなのであろう。
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