巣から落ちたスズメたち

 子育て中の小鳥はこの時期バードテーブルにこないが、まもなく子連れシジュウカラがくるだろう。親ほどに成長しても羽をふるわせ黄色いくちばしをひろげてエサをねだるヒナはなんとも愛らしい。いま庭で忙しないのはスズメ。隣家の換気口に営巣してエサ運びに忙しい。以前、近所の田口睦子さんから『小さなスズメの話』(文芸春秋社)を借りて読んだことがある。1940年代のロンドン。音楽家のキッブス夫人が孵化直後のイエスズメを拾って12年間、老衰するまで一緒に暮らした記録だ。感情表現を抑えてスズメの行動をしっかり描写しているから貴重な本とされている。スズメの寿命は自然状態では8年ほどらしい。スズメの名はクラレンスだったと思うが、野生の本能と人間の環境の狭間で、歌をうたうなどさまざまな才能を発揮することも記録されている。南区の中島に住む友人の山岡薫代さんも散歩中に拾った飛べないヒナを13年も世話をしていた。山岡さんもこの本を読んで、クラレンスの記録を抜く価値あるニュースに違いないとテレビ局に知らせたら「自然の摂理にもとる行為」と拒否された。自然の摂理はなんとも難しい…。落ちるなスズメ!

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