ミズナラの向こうに浮かぶ村
家に接した防風林にはミズナラが一本ある。昨年からドングリをつける。昭子がカシワの木と思い違いをして、中札内村の小田中刻夷村長から苗木をわけもらったのだが、実はミズナラだった。それでも美しい中札内村を想起するには十分だ。私たちはこの村に魅せられて、かつては夏の一時を村経営のフェーリエンドルフ(森に配されたドイツ風の瀟洒な貸別荘)で過ごした。ズナラはこの一角からいただいた。遠くに日高山脈を望みつつ、村中を走る防風林を満喫。村は早くから農村景観を大切にし、個々の屋敷についても花と緑の育成に余念がなく、女性たちをイタリアに「花づくり留学」させたほど。「在村型離農」といって村民が離農しても村にとどまれるよう福祉に力を入れる。カシワの森にたたずむ坂本直行記念館や相原求一郎美術館は村の文化のグレードを高める。基幹産業はむろん農業。畑作と酪農が連携する循環型有機農業を「中札内農業」として確立し産品をブランド化。美しい村だからお菓子の六花亭も進出。自立精神が旺盛な村。私は東京の友人にもフェーリエンドルフを薦めた。だれもが中札内村と十勝に満足した。十勝には勧めたい町や村がたくさんある。
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