離農跡水仙一輪風に揺れ

 大小のスイセンが3株ほど花をつけている(13)。スイセンの花心は知らないが、なんとはなしに物悲しさと憂いを秘めた花である。2つの情景が心に浮かぶ。東日本大震災の津波で被災した女性が、激励に訪問された皇后陛下(現皇太后)に、一輪のスイセンをお礼にたむけていたテレビの映像。大津波にもめげず咲いたのだという。もう一つは原野に咲くスイセンの印象。道内の過疎地を車で走ると、原野と化した茫漠の土地にぽつりと咲いている。かつて人々の暮らしと家がそこにあった証である。スイセンは酸性の土を好む。だから人が去り家は消えても酸性化した土にスイセンだけは残る。ルピナスも見かけるから、この花も酸性土を好むのだろう。それにつけても物悲しい風景である。もう相当むかしのことだが、酸性化を防ごうと花壇に石灰をまいたことがある。ところがそれから数年というものスイセンは花をつけなかった。その苦い経験から石灰質の土がスイセンに向かないことを知ったのである。畑でもやはり同じこと。肥料を施さない草むらは次第に酸性化してスイセンとルピナスが繁茂する。スイセンを見てはいつも口ずさむ→離農跡 水仙一輪 風に揺れ

 

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